サッカー選手に多い外傷・障害
サッカー選手に多い外傷・障害について部位別に紹介します。
サッカーをしている方
● 股関節の痛み
● 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)とは
鼠頚部周辺に原因がよくわからないが痛みがあるものの総称です。
『股関節周辺に痛みの原因となる器質的疾患がなく、体幹から下肢の可動性・安定性・協調性に問題を生じた結果、骨盤周囲の機能不全に陥り、運動時に鼠径部周辺に痛みを起こす症候群』と定義されています。明らかな器質的疾患が見出せない鼠径周辺部痛を指し、恥骨下枝疲労骨折やスポーツヘルニアとは診断されないもので、手術をせずに保存的に治療するものです。腰痛、打撲、足関節捻挫などが痛みを誘引することがあります。走っているときやキック時などに痛みが出現します。
● 治療
グロインペイン症候群については、競技者自身がリハビリ等を十分理解して行なうことは難しいと思われます。
そのため、医療機関への受診をお勧めします。
可動性(体幹~股関節周辺の可動域制限、拘縮の有無)、安定性(筋力低下の部位)、協調性(体幹~下肢の協調性不良の有無)を評価し、それぞれを改善するための治療を行ないます。可動性、安定性、協調性を損ねている原因を把握し、マッサージやトレーニングなどのリハビリによってそれぞれを改善します。
● キック動作ついて
股関節に負担の少ないキック動作とは・・・
(1)安定した体幹軸
(2)身体を支える軸足の外転筋力
(3)クロスモーション(スイングする下肢と反対側の上肢を連動させて動かす)
(4)骨盤の垂直回旋
(5)骨盤の水平回旋
悪いキックとは、例えば腰痛があると・・・
上半身と下半身を連動させて動かすクロスモーションができなくなります。クロスモーションが行なわれないと骨盤の回旋が行えず、股関節による動きが強くなり負荷が増してしまいます。両上肢を使えない場合もクロスモーションが上手くできなくなります。また腰にもかなりの負担がかかるため、腰痛の原因にもなってしまいます。
● 膝関節の痛み
● オスグッド・シュラッター病
小学校高学年から中学生(特に11~13歳位)の発育期に多く見られる膝の痛みで、俗に成長痛と言われているものです。サッカーの他にバレーボールやバスケットボールなどジャンプ動作の多い種目でもよく見られます。ももの筋肉(大腿四頭筋)が膝の骨(脛骨)を引っ張ることで炎症を起こすものと考えられています。
● 治療
痛みを起こす動作の制限、運動後のアイシング、ストレッチなどを行います。大腿四頭筋を中心にストレッチや電気治療などの理学療法を行います。
● 足部の痛み
● サッカー足(footballer's ankle 衝突性外骨腫)
足関節背屈時の足関節前縁部衝突などの刺激や、底屈時に生じる関節包による牽引などが原因となり、足関節部に疼痛や不安定性、可動域制限などが出現します。サッカーの他にバスケットボール選手などでも見られます。 外骨腫とは足関節の過度の底背屈や回旋により、距骨と衝突したり擦れたりして生ずる骨棘のことで、前・後・側方いずれにも生じます。運動時痛や前方のものでは背屈制限を主訴とすることが多いです。
● 治療
サポーターやテーピングなどで疼痛緩和を図れます。また、足関節不安定性が基盤にある場合も多いため、足関節捻挫を確実に治療することが予防となります。