スポーツ診療

トレーニング

トレーニング

● トレーニングについて

「トレーニング」というとダンベルなどを一生懸命にあげるようなイメージが湧くかもしれませんが、もともと「練習」とか「訓練」といった意味があります。


ここで挙げるトレーニングとは、ケガをしてしまった後に、痛みなどを伴わずに日常生活に戻ること、故障後にスポーツ活動へ復帰できるようにすること、競技力を向上させるなどを指します。どちらかというと「リハビリ」という方がしっくりくるのかもしれませんが、リハビリにはトレーニングの他にも様々な要素があるので、ここではトレーニングという言葉を使います。

● ストレッチングのメカニズム

ストレッチ

足関節背屈時の足関節前縁部衝突などの刺激や、底屈時に生じる関節包による牽引などが原因となり、足関節部に疼痛や不安定性、可動域制限などが出現します。サッカーの他にバスケットボール選手などでも見られます。 外骨腫とは足関節の過度の底背屈や回旋により、距骨と衝突したり擦れたりして生ずる骨棘のことで、前・後・側方いずれにも生じます。運動時痛や前方のものでは背屈制限を主訴とすることが多いです。

● 効果的なトレーニング

効果的なトレーニング

トレーニング後、30分後に食事をとった場合と、2時間後にとった場合では…

30分後に食事をとった方がグリコーゲン回復量が2倍も大きくなるのです。

● トレーニングには疲労と休養が必要

運動後は必ずクールダウン(アイシング・ストレッチ)をすることが大切です。クールダウンを入念にすることがケガ防止につながります。


トレーニングは何も体を動かす事だけではない。その効果を生かすには休養も必要となります。運動をしていると疲れを感じたり、運動能力が落ちたり筋肉痛、だるさなどを伴う身体的変化がおこる。これが疲労で主としてエネルギー源の枯渇、代謝産物の蓄積、水分の喪失などが原因となる。疲労状態を無視するとケガをしやすくなったり、健康を害したりする様になります。いわゆるオーバートレーニングの状態で、その為に必要なのが休養なのです。

● 各年代でのトレーニング課題

男子 狙い 女子
12歳以下 スポーツ基礎技術の取得 11歳以下
13~15歳 持久能力の向上 12~15歳
15~18歳 筋肉量の増大 15~18歳
19歳以上 スポーツの特異性の強調 19歳以上

● ケガからスポーツ活動に復帰するために

整骨院に受診する場合には、スポーツに支障が出るような故障を抱えてしまったときにその痛みを取り除きたい、というのが一番の目的だと思います。しかし、痛みがなくなっただけではスポーツに復帰できません。

ケガをしてしまった場合には、次に復帰するまでに痛みをとることのほかに、ケガ前と同じ状態もしくはケガ前よりも向上させて復帰した方が再発はかなり防止できます。その再発防止のために行なうのがトレーニングです。そのための方法を、部位別に紹介します。

● 肩関節

● カフトレーニング

カフトレーニング

肩関節にはローテーターカフ(インナーマッスル)と呼ばれる筋肉があり、それらは肩関節が脱臼しないように安定させるように働いています。肩に障害がある時には肩関節が安定せず、肩関節と肩甲骨が連動した正しい動きではなくなっていることが多いです。正しい動きを取り戻させるためにインナーのトレーニングを行ないます。

● ローテーターカフのストレッチ

ローテーターカフのストレッチ

● 肘関節

● ストレッチ

肘関節で痛みが起こりやすいのは、内側上顆と外側上顆という上腕骨の末端部分です。内側上顆と外側上顆にはそれぞれ手関節を底屈、背屈させる筋肉が付着しているので、それらのストレッチを行なうことで肘の痛みの予防や治療を行ないます。

● 腰部

● 腹筋(ドローイン)

腹筋(ドローイン)

ドローインとはいわゆる腹式呼吸のことで、鼻から息を吸うときにお腹を膨らませ、口から息を吐くときにへこませる呼吸法です。これによってインナーユニット(腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋)が鍛えられます。肛門を閉めるようにすると鍛えやすいです。

インナーユニットとはコアと呼ばれる部分です。ここを鍛えることで体幹をしっかりと安定させることができます。体幹が安定していないと上肢や下肢が動くときにも十分に力が発揮できないばかりか、腰痛などの原因となってしまいます。身体のどの部位を鍛える(治す)にしても体幹をトレーニングすることは必須となります。

● 股関節

● トレンデレンブルグ徴候

トレンデレンブルグ徴候

片足立ちをしたときに骨盤の位置はどうなりますか?本来は立位側の骨盤が下がるのですが、股関節外転筋力が低下していると反対側の骨盤が下がってしまいます。


股関節の筋力低下は意外とよく見られるものです。股関節の筋力が低下しているだけで、股関節への負担はもちろん、膝が内反位や外反位なってしまい膝への負担も出てきてしまいます。具体的にはグロインペイン(股関節痛)や、膝靭帯損傷のリスクとなってしまいます。

● 股関節のトレーニング、ストレッチ

股関節のトレーニング、ストレッチ

股関節には多くのトレーニングやストレッチの方法がありますが、写真は股関節の外転筋(中殿筋)のトレーニングとストレッチの方法です。

筋肥大を目的とするときに、方法の1つとしてスロートレーニングという方法があります。3秒かけてゆっくりと上げていき、3秒止めて、3秒かけてゆっくり戻していくというものです。トレーニング器具を用いず自重でのトレーニングでも効果を期待できます。ただし、長期間そればかり行なっていると敏捷性にかけた筋肉になってしまいます。オフシーズンに行なうなど目的に応じたトレーニングを行なうと、さらに効果的なものとなります。

● 膝関節

● 下肢の外傷リスク

下肢の外傷の発生機転についてはアライメントと言って骨配列がよく言われます。特に膝が内側に入ったり外側に入ったりすることは大きなリスクとなります。


■Knee-in

→膝蓋骨亜脱臼、膝内側側副靭帯損傷、膝蓋靭帯内側部炎、鵞足炎、外側半月板損傷、シンスプリント、アキレス腱内側部炎、扁平足、外反母趾

■knee-out

→腸脛靭帯炎、外側側副靭帯損傷、膝蓋靭帯外側部炎、内側半月板損傷、アキレス腱外側部炎、腓骨筋腱炎・脱臼、内反捻挫


この原因には膝だけではなく、股関節の柔軟性や筋力低下、足関節や足部、腰部など様々なものがあります。そのため、膝の治療やトレーニングであっても、鍛える部位は膝だけではありません。

● 膝関節のためのトレーニング

写真は大腿四頭筋と腸腰筋のトレーニングです。膝のアライメントを直すためにはよく内側広筋のトレーニングが言われますが、いずれにしても大腿部の筋肉は膝関節のために重要です。

Knee-inや knee-outの改善のためには膝だけを見るのではなく、腰部、股関節、足関節、足部など、もっと広く様々なところを見る必要があります。下肢(股関節、膝関節、足関節)の筋肉をバランスよく使えているかを見るときや、バランスよく使うためのトレーニングとしてバランスディスクも有効です。

● コーディネーション(協調性)

子どもの投球障害(野球肩、野球肘)でのフォームチェックの時に片足で立ってもらうことがあるのですが、片足立ちができない子どもが多いです。

一般的に身のこなしが良い・運動神経が良い・状況判断が良い・ボールさばきが上手いなどで表現されるケースでは、バランスをとる能力やリズムに合わせて身体を動かす能力に優れており、コーディネーション能力(協調性)が高いと言われます。

コーディネーション能力は一般的に子どもの時期に最も発達すると言われており、その年代をゴールデンエイジ(8~13歳くらい)と言います。この時期に様々な遊びを行なったり、様々なスポーツを経験する、また多くのポジションを経験することは運動能力の基礎を形成することになります。従来は子どもの時代に遊びの中で鍛えられていた要素と考えられますが、現代社会ではトレーニングの重要な要素と考えられます。またトレーニング次第で成人になってからでも十分に成長は期待できます。写真のようなバランスディスクや、バランスボールなどはコーディネーショントレーニングの代表例です。

● 足関節、足部のトレーニング、ストレッチ

足関節、足部のトレーニング、ストレッチ

足関節は捻挫の治療で、足部は捻挫や足底筋膜炎、外反母趾などの治療でトレーニングを行なうほかに、下肢全体のアライメント改善のためにも行ないます。

写真のようなカーフレイズやトゥレイズは足関節の捻挫や膝の障害で行なうことが多いです。またタオルギャザーについては、足部のアライメントは体幹にも影響するため大切なところなのですが、子どもで足の指を動かせないという子は多いです。足の指を動かせるということは足部での衝撃吸収のため他の部位のケガの予防になりますし、地面をしっかりつかめるので運動にも良い影響をもたらします。

● リハビリ風景

当院では、スポーツ傷害や、身体機能の低下したことが原因による痛みを持つ患者様に対して積極的にリハビリテーション(運動療法)を行っております。

施術の中でストレッチを入れたり、ストレッチポール、ストレッチボード、バランスディスク、バランスボール、一枚歯の下駄など使用します。

また、院内にカレンダーを貼りだし、部活動などでの大会予定等を書いてもらい応援しています。

リハビリ風景

● 最後に

これらはごく一部ですが、これらが正しく、痛みが無く行なえて、その後に競技に戻ります。しかし、そのときにもすぐに練習に参加したり試合に出たりするのではなく、簡単な動作から始めます。例えばキャッチボールなら短い距離からスタートし、復帰した週は塁間までと決めるといった具合です。そのようにして行なえば再発のリスクはかなり減少できます。

競技力を向上させたい場合にも、どこかの部位に偏ることなくトレーニングすることが傷害予防にも競技力向上にもつながります。

そのほかにも、運動前後のウォーミングアップやクールダウン(ストレッチ)はトレーニングの前後にバランスの整った状態にすることができ、傷害の予防と次に行なうパフォーマンスを高めてくれる効果があります。積極的に行なってください。

ふじもり鍼灸整骨院 本院

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